第3章:ハイゼンベルグ描像、古典光学と量子光学の関係
3.1 ハイゼンベルグ描像と演算子の時間変化
量子力学における時間発展の記述方法には、状態ベクトル が時間変化すると捉える「シュレーディンガー描像」のほかに、状態ベクトルは初期状態のまま変化せず、物理量に対応する演算子が時間発展(または量子操作)によって変化すると見なす「ハイゼンベルグ描像(描写)」がある。期待値を計算する際、以下のようにユニタリ演算子 を用いて演算子を変換させる表現形式をとる。
ハイゼンベルグ描像は、後述する光の「直交位相振幅(複素振幅)」が量子操作によって変化する物理的イメージ(古典的な振幅の変化)と極めて良く合致するため、連続量量子情報処理や光量子工学の分野において極めて好んで使用され、強力な計算ツールとなる。
3.2 古典光学における電磁波の線形結合と複素振幅
量子光学を理解する出発点として、まず古典光学(古典電磁気学)の電磁場表現を振り返る。電荷や電流が存在しない自由空間において、電磁場はマクスウェル方程式を満たし、その電場 E は線形な偏微分方程式に従う。この微分方程式の一般解は、正規直交基底(モード、例えば平面波やガウシアンビームなど) の線形結合として以下のように書くことができる。
ここで は電磁場の複素振幅であり、その実部および虚部がそれぞれサイン成分およびコサイン成分に対応し、時間的に回転・伝搬する。
