第10章:質疑応答

10.1 質問1:光パラメトリック発振器(OPO)光源の採用理由と波長特性の関係

【質問内容】先生の実験において、なぜスクイーズ光源としてOPO(光パラメトリック発振器)を使用しているのか。それは非常にデリケートな波長選択を必要とするためか。

【回答内容】OPOを使用する主目的は波長選択ではなく、量子もつれ・テレポーテーションに必須となる「スクイーズド光(スクイーズド状態)」を十分に高い強度かつ安定して生成するためである。閾値より十分に低いポンプパワーを注入することで、出力はほぼ真空状態のままでありながら、その真空の揺らぎが高度に圧縮されたスクイーズド光を効果的に生成できる。実験波長については、アサバナント先生の学生時代の実験では 860 nm を使用していた。この理由は、ホモダイン測定で光電流への変換効率が極めて高いシリコンダイオードの最高感度波長に合致するためである。最近では、光通信用のファイバー等のインフラを有効に活用するために 1550 nm での実験も行われており、この波長でもPPKTP結晶の周期反転(周期分極反転)分極構造やミラーを最適化することで、同様に高いスクイージングレベルを達成可能である。

10.2 質問2:連続量EPR状態のもつれ特性と光子数自由度での相関メカニズム

【質問内容】EPR状態の説明において、「光子が2つもつれ合っている」という通常の偏光もつれのような描像がうまく合致しない。EPRもつれとは具体的にどのような量子相関なのか。

【回答内容】確かに、偏光状態のように「1つの光子が2つの異なる変更自由度で相関している」というような描像とは異なる。EPR状態のもつれを「光子の数(Photon number)」という自由度で測定する(数識別測定を適用する)と、2つのモードの間で測定される光子数が必ず完全に同一(片方が 1 個ならもう片方も 1 個、片方が 3 個ならもう片方も 3 個)となるという極めて強い相関を示す。また、波動の観点(直交位相振幅の測定)では、位置 x の測定に対してはアリスとボブで全く同じ測定値が得られ、運動量 p の測定に対しては必ず正負が反転した値が得られる、という同時確定可能な強い相関を示す。これが、連続量EPR状態における古典光学では絶対に説明できない特異な量子相関(量子もつれ)の物理的描像である。

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