可飽和吸収ミラー(SAM : Saturable Absorber Mirror)は、主に分布ブラッグ反射鏡(DBR : Distributed Bragg Reflector)と可飽和吸収体で構成されている。DBRは異なった高および低屈折率材料で構成されている。

図1は1064nmで動作する典型的な半導体可飽和吸収ミラー(SESAM : Semiconductor Saturable Absorber Mirror )の概念図である。図のSESAMは、基盤に砒化ガリウム( GaAs )、GaAs/AlAsのDBRの上に量子井戸の吸収層( InGaAs ,可飽和吸収体 )が作成されている。量子井戸の下が厚いのは、格子不整合を緩和して良質の吸収層を得るためである。

典型的なSESAMの概念図

図1:典型的なSESAMの概念図

一般にSESAMにはMBE法またはMo-CVD法によるエピタキシャル成長が用いられる。

分布ブラッグ反射鏡とは

1/4波長の厚みをもつ屈折率の異なる層を積み重ねて構成される反射鏡。光の干渉効果によるブラッグ反射により各層での反射波が強め合い高い反射率が得られる。GaAs系では、GaAsとAlAsの材料が用いられ、30対程度の層数が使われる。

半導体可飽和吸収ミラー

SESAMの一般的な回復時間(緩和時間)は数ピコ秒程度であり、ピコ秒から数100フェムト秒領域のモード同期の可飽和吸収材料として用いられる。短パルス発生を目的とする場合は、パルスのエッジ部分で吸収飽和が早めに起こるように、SESAM上のレーザービーム径を調整してパルス強度を高めに設定して用いられる。フェムト秒領域のモード同期の場合、SESAMはパルス発生の誘因としてのみ用いられ、フェムト秒域の緩和時間を持つカーレンズモード同期やソリトンパルスと共に利用される。

可飽和吸収ミラーのメーカー

Reference and Links

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