デジタルマイクロスコープ
デジタルマイクロスコープ は、対象物を拡大して観察・撮影できるカメラ一体型の顕微鏡です。
レンズで捉えた像をセンサーでデジタル化し、モニタに表示するため、複数人で同時に観察したり、画像・動画として記録して共有したりできます。倍率は数十倍〜数百倍程度が一般的で、機種によっては計測機能(2D測定・3D測定)や、照明の切り換え機能(リング・同軸落射・偏光など)を備えます。
電子部品のはんだ付け検査、基板や金属表面のキズ確認、生物・植物の観察、教育用途など幅広く活用されています。光学顕微鏡に比べて手軽に扱える一方、倍率や解像感はセンサー性能やレンズ品質、被写界深度や照明条件に左右されるため、用途に合った機種選びが重要です。
デジタルマイクロスコープのコンセプト
| コンセプト | 解説 | |
|---|---|---|
| 観る |
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誰でも簡単に鮮明な観察が可能です。 |
| 撮る |
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静止画、動画、タイマー撮影など様々な撮影機能に対応しています。 |
| 測る |
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長さ、幅、面積、角度、半径などの2D計測、対象物表面の高低差、体積、粗さ (Ra、Rz、Rzjis) などの 3D 計測が可能です。 |
デジタルマイクロスコープの特長
被写界深度の深さ
デジタルマイクロスコープは一般的な光学顕微鏡に比べ、被写界深度が深い特長があります。
被写界深度とは、高低差のある対象物を観察した際のピントの合う深さです。被写界深度が深いと、凹凸のある対象物を観察してもピントの合う範囲が広いため、瞬時に全体を観察することができます。
観察距離の長さ・フリーアングル観察
デジタルマイクロスコープは一般的な光学顕微鏡に比べ、観察距離が長い特長があります。
観察距離が長ければ、対象物の奥まった個所を観察でき、レンズを傾けて観察する場合でも対象物やステージにレンズがぶつかる恐れがありません。

*光響のデジタルマイクロスコープは、左右最大 90°まで傾斜し、電動ロック機能を備え直感的なフリーアングル観察を実現しています。
ズームレンズ
ズームレンズを搭載し、低倍率から高倍率まで効率良く拡大観察できます。
モニタ観察・情報共有
デジタルマイクロスコープはモニタに対象物を映し出すため、リアルタイムかつ複数人で情報共有することが可能です。また、接眼レンズを使用する光学顕微鏡と異なり、目の疲労を軽減できます。
2D・3D計測が可能
観察だけでなく計測を行うことができます。例えば、寸法測定や、角度測定を使用すれば、微細な部品の「サイズ測定」や「先端の角度測定」などを行うことができるため、開発現場や品質管理の現場に役立てることができます。
データ保存・レポート作成が容易
観察した画像データを直接コンピュータに取り込むことができます。また、デジタルデータとして保存されるため、データの管理やバックアップが容易です。さらに、データの解析結果をレポート出力することも可能です。
デジタルマイクロスコープの画像処理機能
凹凸強調機能
多方向からの照明と画像演算アルゴリズムで、サンプルの凹凸をワンクリックで可視化できます。微細なテクスチャも、独自開発のテレセントリックAPO対物レンズの性能を最大限に活用し、超高解像度観察を実現します。
リング反射除去機能
リング反射除去機能により、リング照明によるハレーションを防ぎます。サンプル表面のリング状の反射を除去し、クリアな画像を実現します。
HDR機能
極端な明るさの差がある物体を撮影する際に、HDR 機能が色の階調を正確に表現し、これまで不可能であった高精細・高コントラストの観察を可能にします。
2D/3D連結機能
電動XYステージを移動することで、画像が自動的に連結されます。
※光響のデジタルマイクロスコープは、最大100000 x 100000ピクセルに対応します。
デジタルマイクロスコープの測定機能
クロスレビュー測定
高倍率で観察する場合、従来の方法では連結画像を使用した寸法測定が必要で、時間がかかるだけでなく連結誤差により精度が悪化します。クロスレビュー測定で、連結の手間を省き、視野内で2点を指定するだけで、距離や高さを迅速かつ正確に測定します。
スマート測定
従来のマニュアルによる測定ポイント選択誤差を解消するため、高度なエッジ抽出アルゴリズムを採用しています。測定する領域を選択するだけで、ソフトウェアが特徴を自動的に抽出し測定します。これにより、測定の一貫性が保証され、マニュアル操作による誤差を防ぎ、測定の正確性と効率を向上させます。
自動分析
高度なエッジ抽出と画像処理アルゴリズムにより、重なり合うオブジェクトを自動的に分離し、粒子を迅速にカウントし、指定した領域内の面積を測定します。
デジタルマイクロスコープの照明オプション
デジタルマイクロスコープでは、以下の照明オプションが選択できます。観察対象物に応じて、最適な照明方法を選択してください。
リング照明(暗視野照明)
リング照明は、レンズの横から斜めに光を照射します。実体顕微鏡で使用されている照明方法で、拡散反射光をとらえ対象物の色を自然に観察することができます。また、凹凸による陰影ができるので、輪郭をはっきりととらえることができます。
リング照明(プリント基板 80倍)
同軸落射照明(明視野照明)
同軸落射照明は、レンズ内から垂直に光を照射します。金属顕微鏡で使用されている照明方法で、対象物の正反射光をとらえ対象物の光沢やテクスチャーを観察することができます。
同軸落射照明(プリント基板 80倍)
ミックス照明(リング+同軸落射照明)
ミックス照明は、リング照明と同軸落射照明を併用した照明方法です。対象物の拡散反射と正反射の両方をとらえることができます。凹凸のある表面と光沢のある表面を同時に観察したい場合に有効です。
リング照明 (カラーセンサ 200倍)
同軸落射照明
ミックス照明
*ミックス照明を使用することで、カラーセンサとワイヤーボンディングの両方が明るく観察できます。
透過照明
透明体や半透明体物の観察には、対象物の下側から透過照明で観察します。また、対象物の端面をコントラスト高く観察できますので、精度の高い平面測定が可能です。
リング照明(ネジ 20倍)
透過照明
偏光照明
通常照明画像
同軸落射照明(プリント基板 100倍)
偏光照明画像(同軸落射照明+偏光フィルタ)
偏光フィルタを使用することで、基板のコーティング面のハレーションを防止できました。
微分干渉照明
偏光板を通した光がDICプリズムを通ると、2本の偏光に分割されて対象物に当たります。対象物から反射した光は再度DICプリズムを通って1本の光となりますが、この時対象物に高低差があるとそれぞれの光の反射位置がわずかに異なります。その光路差のために、再度光が1本になる際に干渉が発生し、これが明暗のコントラストとなって視覚化されます。
通常照明画像
同軸落射照明(カラーセンサ 400倍)
微分干渉照明画像(同軸落射照明+DICプリズム)
微分干渉を使用することで、表面の微細な凹凸が可視化できました。
デジタルマイクロスコープの基礎知識
デジタルマイクロスコープで使用される技術用語を以下に紹介します。
倍率
一般的な光学顕微鏡とデジタルマイクロスコープの倍率の違いを以下に紹介します。
光学顕微鏡倍率
倍率(総合倍率)は、対物レンズと接眼レンズの倍率を掛け合わせたものとなります。たとえば、対物レンズが20×、接眼レンズが10×であれば、倍率は200倍です。
倍率の計算方法
総合倍率 =(対物レンズの倍率)×(接眼レンズの倍率)
1倍の定義
倍率1倍とは、対象物から250 mm離れた位置(明視距離)から肉眼で観察した倍率です。
デジタルマイクロスコープ倍率
デジタルマイクロスコープは、接眼レンズを使用しないため、モニタ倍率を使用します。モニタ倍率とは、モニタに表示された際の倍率を表します。
例えば直径1 mmの対象物を撮影した際に、モニタ上で直径100 mmで表示されている場合は「モニタ倍率100倍」になります。使用するモニタサイズが大きいほど倍率が高くなりますので注意が必要です。
アクロマートレンズとアポクロマートレンズ
光響のデジタルマイクロスコープは、アポクロマートレンズを採用しています。アクロマートレンズとアポクロマートレンズの違いを以下に紹介します。
アクロマートレンズ
赤・青・緑は「光の三原色」ですが、赤・青・緑で焦点を結ぶ位置が異なります。これを「色収差」といいます。アクロマート(achromat)は、赤・青の2波長の色収差を補正しています。製造コストが安いため、一般的に広く使用されています。

アポクロマートレンズ
アポクロマート(apochromat)は、赤・青・緑の3波長の色収差を補正しています。解像度に優れ、研究開発用途で使用されますが、製造コストが高く、高価なレンズです。

テレセントリックレンズ
通常レンズは、レンズからの距離に応じて物体の倍率が変わるため、近くの物は大きく見え遠くの物は小さく見えます。一方テレセントリックレンズは、レンズからの距離による倍率変動が小さいため、測定用途に適したレンズです。
光響のデジタルマイクロスコープは、テレセントリックレンズを採用しています。

作動距離(ワーキングディスタンス Working Distance, W.D.)
レンズ先端から観察対象物にピントが合った面までの距離です。レンズより照明がせり出している場合は作動距離は短くなります。作動距離は、ワーキングディスタンスとも呼ばれています。
デジタルマイクロスコープは、一般的な光学顕微鏡より作動距離が長い特長があります。

被写界深度
観察対象物はレンズの焦点距離でピントが合いますが、焦点距離から近づいたり遠ざかったりした場合でもピントが合って見える範囲があります。これを「被写界深度」と呼びます。被写界深度が深いと凹凸のある対象物でもピントの合う範囲が広く、全体を観察しやすくなります。
デジタルマイクロスコープは、一般的な光学顕微鏡より被写界深度が深い特長があります。
開口数(N.A.)
開口数(N.A.)は、Numerical Apertureを略したものです。N.A.は、光学系の明るさや解像度を表す数値です。N.A.が高いほど明るく解像度も高くなる反面、作動距離は短く被写界深度は浅くなる傾向があります。
N.A.=Nsinθ
*N:物体周囲の媒体の屈折率/空気(真空)の場合は1
分解能(レイリーの分解能)
光には、波のように拡がる現象があり、回折と呼ばれています。
このため、収差のないレンズを使用しても像を1点に集光できず、円盤状に拡がります。この円盤状の広がりをエアリーディスクと呼び、エアリーディスクの半径rは、以下の数式で求めることができます。この値を「分解能」と呼びます。開口数(N.A.)が大きいほど、エアリーディスクの半径が小さくなり解像度が高くなります。
分解能の計算方法
r =0.61 λ/N.A.
*r:分解能/λ:光の波長/N.A.:開口数/0.61:定数
デジタルマイクロスコープ撮影事例
電動レボルバーによるシームレスズーム機能、電動Zステージによる深度合成機能、電動XYステージによる画像連結機能を使用した撮影事例を紹介します。
BGAの撮影

リング照明 80倍

リング照明300倍

3Dプロファイル測定
カラーセンサの撮影

リング照明 50倍

ミックス照明 300倍

3Dプロファイル測定
スローアウェイチップの撮影

リング照明 20倍

リング照明200倍

3Dプロファイル測定
ハイビスカスの花の撮影

リング照明 20倍

リング照明100倍
人参の切断面の撮影

リング照明 20倍 画像連結 (9088 x 8375画素)

リング照明500倍
キューティクルの観察

リング照明 100倍

同軸落射照明500倍

同軸落射照明2000倍

