量子ドットレーザー

量子ドットレーザとは、光を発する「活性層」に、数ナノメートルサイズの半導体微粒子(量子ドット)を組み込んだレーザーです。電子を3次元全ての方向から小さな箱に閉じ込めることで、電子の状態密度を不連続(鋭いピークを持つ状態)にし、従来のレーザーにはない画期的な特性を実現しています。近年では、半導体の限界を突破する「光電融合技術」のキーデバイスとしても大きな注目を集めています。

構造と量子閉じ込め効果

従来のレーザー(量子井戸構造)が「面(2次元)」で電子を閉じ込めるのに対し、量子ドットは「点(0次元)」で電子を閉じ込めます。

量子ドットレーザーの主要な特性

  • 圧倒的な温度安定性
    従来の半導体レーザーは温度が上がると発振しにくくなりますが、量子ドットレーザは温度変化の影響をほとんど受けません。
    周囲の温度が変わっても出力やしきい値電流が安定しているため、冷却用のペルチェ素子が不要(クーラーレス運用)になります。
  • 低消費電力・低しきい値
    電子を効率よく光に変換できるため、非常に小さな電流で発振を開始(低しきい値電流)でき、機器の省エネ化、発熱の抑制します。
  • 反射戻り光への耐性
    従来のレーザーは外部からの反射光(戻り光)に非常に弱く、ノイズが発生しやすいですが、量子ドットレーザは戻り光に対して非常に高い耐性を持ちます。
    高価な「光アイソレータ」を省略でき、システムの小型化・低コスト化が可能です。
DFBレーザー

画像引用:Innolume

量子ドットレーザー|主要メーカー

※本サイトでは各メーカーの一部製品のみをご紹介しています。最新情報はメーカー公式サイトにてご確認ください。気になる製品がございましたら、光響までお気軽にお問い合わせください。

シリコンフォトニクス(光電融合)

シリコンチップ上にレーザーを搭載し、電子回路と光回路をインテグレートする次世代の光電融合(あるいは「次世代計算機・通信技術」)。冷却不要・アイソレータ不要の特性が不可欠です。

次世代データセンター

高速かつ低消費電力が求められる光電融合(光インターコネクト/機器間通信)のインフラ基盤。

医療用光源

OCT(光干渉断層計)などの画像診断装置において、広い波長帯域を持つ光源(SLDに近い特性)として利用できます。

レーザー網膜走査ディスプレイ

目に直接映像を投影するアイウェアなど、高精細かつ安全な光源として利用できます。

選定時のチェックリスト

  • 温度範囲:クーラーレスで動作させる場合、使用環境の最大温度で性能が維持されるかを確認します。
  • 波長帯:1.3μm帯(通信用)が主流ですが、用途に合わせたカスタマイズが可能か。
  • 信頼性:長期的な通電による量子ドットの劣化特性のデータがあるか。

量子ドットレーザー レーザーメーカー

  • 富士通と東京大学の発ベンチャーであり、量子ドットレーザの量産に世界で初めて成功したリーディングカンパニーです。

  • 量子ドット技術を用いた1.0μm〜1.3μm帯のハイパワーLDやゲインチップに強みを持ちます。