ミラー
光学ミラーは、基板(ガラスや金属)の表面に反射膜をコーティングし、入射光を特定の効率と方向で反射させる素子です。レンズのような屈折光学系と異なり、色収差が発生しないため、幅広い波長域を扱うシステムや高出力レーザー回路において不可欠な役割を果たします。
ミラーの形状と用途
- 平面ミラー: 光路の変更やビームステアリング。
- 凹面ミラー: 光の集光(フォーカシング)や、共振器内でのモード制御。
- オフアクシス・パラボラミラー: 軸外放物面鏡。色収差なしで平行光を一点に集光できるため、テラヘルツ波や遠赤外分光に多用されます。
画像引用:LAYERTEC
ミラーの種類|主要メーカー
ミラーの性能は、表面に施された「コーティング」によって決定されます。主に以下の3つのタイプに分類されます。
※本サイトでは各メーカーの一部製品のみをご紹介しています。最新情報はメーカー公式サイトにてご確認ください。気になる製品がございましたら、光響までお気軽にお問い合わせください。
金属膜ミラー (Metallic Mirrors)
アルミニウム、銀、金などの金属を蒸着させたもの。
- 特徴: 反射帯域が非常に広く、入射角依存性が少ない。安価。
- 用途: 分光計、一般的な照明、広帯域な低出力光源。
- 注意点: 誘電体膜に比べ反射率がやや低く(90~98%程度)、高出力レーザーでは熱を持ちやすいため不向き。
誘電体多層膜ミラー (Dielectric Mirrors)
屈折率の異なる薄膜を交互に積層し、光の干渉を利用して反射させるもの。
- 特徴: 特定の波長に対して 99.9%以上の極めて高い反射率を実現可能。
- 用途: レーザー共振器、ビームステアリング、高精度光学系。
- 注意点: 反射帯域が限定的(ナローバンド)であり、入射角によって反射特性が変化する。
超短パルス用ミラー (Ultrafast Mirrors)
フェムト秒レーザーなどの非常に短いパルスを扱うための特殊な誘電体ミラー。
- 特徴: GDD(群遅延分散) を制御し、パルスの広がり(歪み)を最小限に抑える設計がなされている。
- 代表例: チャープミラー(Chirped Mirrors)など。
主要な性能指標(選定パラメータ)
- 反射率 (R: Reflectivity): 特定の波長および入射角における反射効率(%)。
- レーザー損傷閾値 (LIDT: Laser Induced Damage Threshold): ミラーが耐えられるレーザー強度の限界値($J/cm^2$ または $W/cm^2$)。高出力加工機では最重要視されます。
- 表面粗さ (Surface Roughness): 表面の微細な凹凸。散乱光を抑えるには「超精密研磨(スーパーポリッシュ)」が必要です。
- 面精度 (Surface Flatness): ミラー全体の平坦度。通常、波長 $\lambda$ を基準に「$\lambda/10$」などで表記されます。
選定時のチェックリスト
- 使用波長: 単一波長か、広帯域(ブロードバンド)か。
- 入射角 (AOI: Angle of Incidence): 通常は $0^\circ$(垂直入射)または $45^\circ$。
- 偏光状態: S偏光、P偏光、あるいはランダム偏光かによって反射率が変わる場合があります。
- 出力密度: 連続波(CW)かパルスか。ピークパワーに耐えられるコーティングか。
- 環境条件: 真空中で使用するか、あるいは高温多湿な環境か(膜の耐久性)。
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