産業用・ハイパワーファイバーレーザー

産業用・ハイパワーファイバーレーザーは、数キロワット(kW)以上の連続波(CW)出力を超高輝度かつ安定して照射できるレーザーシステムです。従来の CO2レーザーやYAGレーザーに代わり、現代の金属切断、深溶け込み溶接、表面処理(レーザークリーニングなど)のデファクトスタンダード(業界標準)となっています。

発振原理と構造の特徴

ハイパワーファイバーレーザーは、レーザー光の生成から増幅、伝送までをすべて「光ファイバーの内部」で完結させる「オールファイバー構造」が最大の特徴です。

  • ダブルクラッドファイバー
    心線となる「コア」に希土類元素(主にイッテルビウム:Yb)を添加した、特殊な2層クラッド構造のファイバーを使用します。

    • 第1クラッド(内側): 複数の高出力マルチモード半導体レーザー(LD)からの励起光を効率よく閉じ込め、伝搬させます。励起光は往復する間に中心のコアに何度も交差し、Yb を励起します。
    • コア(中心): 励起された Yb から 1,060 〜 1,080 nm 帯の高輝度レーザー光が発生・増幅され、シングルモードまたは低次のマルチモードとして伝搬します。
  • FBG(ファイバーブラッググレーティング)
    ファイバーのコア内部に直接書き込まれた回折格子(FBG)が鏡の役割を果たし、共振器を構成します。従来の固体レーザーのように「空間に配置されたミラー」がないため、光軸のズレが原理的に発生せず、完全メンテナンスフリーを実現しています。
CWレーザー

画像引用:Maxphotonics

産業用・ハイパワーファイバーレーザー|主要メーカー

レーザー切断(Cutter)

高輝度ビームにより、厚板のスチールやステンレスから、薄板のアルミまでを超高速・高精度(バリの少ない滑らかな切断面)で切断。

レーザー溶接(Welder)

エネルギー密度が高いため、材料を深く狭く溶かす「キーホール溶接」が可能。熱影響による材料の歪み(反り)を最小限に抑え、自動車のボディ製造などで多用されます。

レーザークリーニング(表面処理)

錆(サビ)や塗装、油膜を非接触で一瞬にして蒸発・剥離させるクリーン技術。

産業用としての圧倒的なメリット

極めて高いウォールプラグ効率(WPE)

電気エネルギーをレーザー光に変換する効率(WPE)が35 〜 50%と非常に高く、CO2レーザー(約10%)やランプ励起YAG(数%)を圧倒します。これは、工場における消費電力の大幅な削減(省エネ)に直結します。

 
優れた熱管理と高ビーム品質

光ファイバーは「細く長い」形状をしているため、体積に対する表面積の比率が大きく、放熱性に極めて優れています。そのため、熱レンズ効果によるビーム歪みが発生せず、数kWの超高出力時でも、非常に小さく絞り込める高いビーム品質(高いエネルギー密度)を維持できます。

 
金属(特に高反射金属)への高い吸収率

波長が約 1.07 μm と短いため、CO2レーザー(10.6 μm)では加工が難しかったアルミニウム、銅、真鍮などの高反射金属に対しても高い吸収率を示し、高速かつ安定した加工が可能です。

選定時のチェックリスト

  • 出力パワー(kW数):加工する部材の「材質」と「最大板厚」、および求められる「加工速度」から最適なパワー(1 kW〜数十 kW)を逆算します。
  • ビーム品質パラメータ(BPP / M2):
    • シングルモード(低BPP): 微細で深い溶接、薄板の超高速切断向き。
    • マルチモード(高BPP): 厚板の安定した切断、一定の溶接幅を持たせたい時向き。
  • バックリフレクション(戻り光)対策:銅やアルミを加工する際、反射したレーザー光がファイバーを逆流して内部を破壊するリスクがあります。メーカーが強力な戻り光保護機能を搭載しているかの確認が必須です。
  • チラー(冷却機)の仕様:数kW以上のシステムでは水冷が必須となります。工場のファシリティ(冷却水設備)との兼ね合いを確認します。

産業用・ハイパワーファイバーレーザーメーカー

MaxPhotonics
  • 株式会社光響が日本国内での導入・サポートを強力に推進している、高コスパ・高性能な産業用ハイパワーファイバーレーザーのリーディングブランド。