光響製「フェムト秒マルチパスTiサファイア増幅器」/水素製造研究(学術分野)で用いられました
㈱光響は、創業以来のビジョンである「エネルギの無限供給による豊かな社会の構築」を具現化する「海水から水素を取り出す」研究プロジェクト(下記*参照)向けに「高エネルギーフェムト秒TiSaレーザー増幅器」を企画・開発し、昨年度納品しました。
当該レーザー増幅器を用いて水素取り出しが高効率化された旨の成果論文が、この度「CHEMICAL ENGINEERING SIENCE(Volume 320, Part B, 15 January 2026, 122518)」誌に掲載されました。
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= Scale-up potential of laser-driven chemical processes:
A case study on hydrogen production using a femtosecond laser=
本論文は、そのテーマ性からオープンアクセスが可能です。
・https://doi.org/10.1016/j.ces.2025.122518
(掲載箇所:2.2. Custom amplified femtosecond laser)
㈱光響は、今後も豊かな社会の発展に寄与するレーザー技術を広く供給するビジネスに邁進して行きます。
製品(構成)イメージ

論文情報
掲載誌:
CHEMICAL ENGINEERING SIENCE
論文タイトル:
Scale-up potential of laser-driven chemical processes: A case study on hydrogen production using a femtosecond laser
著者:
Akira Kuwahara, Oki Ito, Yuki Mizushima, Kazuhiko Sumimura, Toru Murata, Nobuyuki Mase,
Makoto Matsui
DOI:
https://doi.org/10.1016/j.ces.2025.122518
用語解説
・Femtosecond laser(フェムト秒レーザー):
1兆分の1秒という極めて短いパルス幅で光を照射する超短パルスレーザーの一種です。超短時間内にエネルギーを集中させることで、非常に高いピークパワー(瞬間的な光の強さ)を生み出します。非熱加工、高精度加工等を特長とし、医療、産業、科学・研究分野で利用されています。
・Laser-driven chemical process(レーザー駆動化学プロセス:
分子への高出力レーザーの照射により、通常の熱・圧力では起こりにくい(又は制御が困難な)化学反応を起こす技術です。高い選択性、非熱プロセスを特長とし、新材料の合成、医療分野での利用が期待されます。
・Water splitting(水の分解):
水分子(H2O)を構成元素である水素分子(H2)と酸素分子(O2)へ分解する化学反応です。クリーンエネルギー源である水素製造方法として注目されています。
・Multiphoton ionization(多光子イオン化):
原子・分子への強力なレーザー光の照射時に複数の光子が同時吸収されることで、その合計エネルギーがイオン化エネルギーを上回り、電子が放出される現象です。光子密度が非常に高い光源(パルスレーザー)を用いると効率的に生じます。分子分析、質量分析、レーザー加工等の様々な分野で応用されています。
・Laser filamentation(レーザーフィラメンテーション):
超短パルスで高出力なレーザー光を気体や透明な固体などの媒質への照射時に、光が細い線状のまま、長距離にわたって伝播する現象です。自己集束、プラズマ生成による発散作用の釣り合いによるもので、回折・散乱の影響を殆ど受けずに長距離を進むます。雷誘導、大気計測(遠隔)、材料加工等、様々な分野での応用が研究されています。
・Hydrogen production(水素製造):
燃料電池車(FCV)向け燃料、CO₂を排出しない次世代エネルギー源として位置づけられ、水蒸気改質、水の電気分解の方法で製造されます。
関連製品:
・Light Conversion製CARBIDEの3波長フェムト秒レーザー
・小型汎用フェムト秒レーザー加工機 Femto-V(光響製)
・超高精密フェムト秒レーザー加工機 Femto-pro(光響製)
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