気体レーザーの基礎
気体レーザーの基礎は、宇野和行氏によるドクター論文:低ガス圧軸方向放電励起気体レーザーの研究(2008)[1]を主な参考文献として書かれています。この論文は光響のネットショップで購入することができます。
『気体レーザーの基礎』の記事一覧
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参考文献「低ガス圧軸方向放電励起気体レーザーの研究」の概要
近年、材料工学や物質工学、光化学、分光、微細加工、超微細加工といった多岐にわたる応用分野において、紫 外・真空紫外域の短波長光源の重要性が非常に高まっている。最近では、深紫外域で発振する固体レーザーも開発 されているが、真空紫外域で発振する媒質が多いことや効率の高さなどから、気体媒質の重要性は依然非常に高い ままである。気体媒質の短波長レーザーでは、これまでの多くの研究開発により、産業応用に供せられる動作性能を もつレーザーが既に市販されているが、フォトンコストが非常に高く、付加価値の高い応用にしか使用できない状況で ある。加えて、気体媒質では数多くの発振線が真空紫外域に存在するにもかかわらず、真空紫外レーザーとしては F2 レーザーしか市販されているレーザーがない。このような状況を打開するためには、根本的な励起方式の見直しが 必要であると考えられる。
そこで、筆者は、従来とは異なる励起方式である軸方向放電励起方式と、それによる従来とは異なる低ガス圧放電 に着目し、新しい知見に基づく低ガス圧軸方向放電励起方式を提案する。これまで気体レーザーの研究の主流は高 出力が得られる横方向放電励起方式であり、これまで軸方向放電励起方式の深い研究はなされておらず、軸方向放 電励起方式の特性や基礎技術は確立されていなかった。本研究の目的として、軸方向放電励起方式の特性の把握 と基礎技術の確立、真空紫外レーザーの開発を掲げた。研究は、3 つの研究分野、高性能化の研究、スイッチレス化 の研究、ランプ化の研究から進め、軸方向放電励起方式の特性を明らかにし、その特性を活かした多数の新しい励 起回路を開発し、真空紫外レーザーの開発に挑んだ。 本論文は全8 章から構成される。
第 1 章は序論であり、短波長光源と気体媒質の重要性、短波長レーザーの現状、問題点を示し、本研究の意義を 明らかにした。
第 2 章では、新しい知見に基づく軸方向放電励起方式の特性と本研究で用いた気体媒質の励起機構を原理的に 説明した。
第 3 章では、軸方向放電励起気体レーザーの基礎研究とその励起回路への改善を目指し、従来の容量移行型回 路と新しく開発したダイレクト・ドライブ回路の特性を軸方向放電励起N2 レーザーにより比較して記述した。ダイレクト・ ドライブ回路の優位性及び軸方向放電励起方式の特性について説明した。
第4 章では、スイッチレス方式の研究として、世界初の高速大電流のスイッチを用いない軸方向放電励起N2 レーザ ーについて報告した。
第5 章では、誘電体バリア放電を利用した励起方式の研究として、エキシマランプと同じ回路方式による2 種類の軸 方向放電励起N2 レーザーの発振について記述した。ランプと同じ放電方式でレーザー発振できることを世界で初め て実証した。
第 6 章では、第5 章で開発したウォールカップル回路によるランプレーザー方式で、F2 媒質を用いた実験の研究成 果について記した。放電開始と同時に高速で立ち上がるRed-F*レーザーとVUV-F2 の発光を観測し、従来から理解 されてきたものとは異なる励起メカニズムにより励起が進んでいる可能性を示した。
第 7 章では、第6 章と同様に、ウォールカップル回路によるランプレーザー方式で、希ガス媒質を用いた実験の研 究成果について記した。低ガス圧で、レーザー発振に寄与し、利得の存在を示す希ガスエキシマの一重項の発光を 放電管の内壁付近で強く観測し、希ガスエキシマのレーザー発振の可能性とともに、従来とは異なる励起メカニズム により励起が進んでいる可能性を示した。
第 8 章はまとめであり、本研究で得られた成果をまとめて、本論文を総括する。





