希土類添加ガラスの各種特性の比較

Er,Nd,YbシリカガラスとYb:YAGの特性を比較したのが下の表である。以下、この表を元に、Yb添加ファイバーレーザーの長所・短所を検討する。また、Yb:YAG,Yb:YVO4など、Yb系のレーザ媒質を比較した表はこちら>>Yb系レーザ媒質の比較

  Er silica glass Nd silica glass Yb silica glass Yb:YAG
エネルギー準位 3 4 準3 準3
上準位寿命τf 10 ms 0.4 ms 1.0 ms 1.0 ms
励起波長λp 980 nm 808 nm 975 nm 940 nm
蛍光波長λL 1550 nm 1060 nm 1035 nm 1030 nm
量子欠損 37 % 24 % 5.8 % 8.7 %
吸収帯域(nm) 950 ~ 1030 700 ~ 950 800 ~ 1100 850 ~ 1100
蛍光帯域(nm) 1400 ~ 1650 1000 ~ 1200 900 ~ 1200 950 ~ 1100
蛍光幅(半値全幅) ~ 40 nm ~ 50 nm ~ 60 nm ~ 10 nm
吸収断面積σa(λp) 0.16×10-20 cm2 1.3×10-20 cm2 2.5×10-20 cm2 0.8×10-20 cm2
誘導放出断面積σe(λL) 0.4×10-20 cm2 1.4×10-20 cm2 0.6×10-20 cm2 2.1×10-20 cm2
飽和フルーエンスJs 32 J/cm2 13 J/cm2 32 J/cm2 9.2 J/cm2

Yb添加(シリカガラス)ファイバーレーザーの長所

励起状態吸収が生じない

上準位寿命が短いと励起中にも自然放出による励起損失が生じてしまう。

エネルギーの蓄積能力が高い

Yb系はNd系より上準位寿命が長く、エネルギー蓄積効果が大きい。また、Ybシリカガラスの吸収帯域が広く(広い波長で励起することができる)、レーザーの安定性が高い。

超短パルスレーザーを造りやすい

蛍光帯域が広く、広い波長で増幅させることができるので超短パルスレーザーを造りやすい。

LDの電気光変換効率が高い

0.9um帯のLD は電気入力から光への変換効率が高い。

利得媒質長を短くできる

Er3+イオンは石英系ガラスに対する溶解度が低く均一に高濃度添加することが困難であるが、Yb3+イオンは濃度消光が少なく高濃度添加が可能で利得媒質長を短くできる。相互作用長が短くなると、非線形光学効果の抑制にも有利である。

4. 高平均出力・高繰り返し動作が可能

Ybシリカガラスは広い蛍光幅・低い量子欠損を有しており、超短パルスファイバーレーザーや高出力ファイバーレーザーとして非常に優れているといえる。量子欠損とは励起光からレーザー光への波長シフトによる光子エネルギーの欠損であり、レーザー媒質中における主な発熱要因となる。

Ybシリカガラスファイバーレーザーの短所

  1. 再吸収による利得損失が生じる
  2. Ndに比べレーザー発振しにくい(誘導放出断面積が小さい)

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