レーザーの高出力化に必要な要素技術
連続発振では単一モード2.5kW 以上、マルチモード出力50kW 以上が可能となり、モジュールの並列接続(バンドル化)により100kW級も夢ではなくなっている。
高出力化の歴史
2002 年から2003 年にかけてLMA (Large Mode Area)ファイバーの開発により劇的な出力増加が見られた。一方、2002 年頃からフォトニック結晶ファイバー(Photonic crystal fiber: PCF)の出現により機能性かつ高出力化が可能となり、今やファイバーレーザーは固体レーザーの代表選手である。
高出力化競争
ファイバーレーザー出力のトップデータを競っている組織
- IPG Photonics (IPG photonics Japan)
- Friedrich-Schiller-Universität Jena (FSU-Jena大学)
- University of Southampton
ファイバーレーザーの高出力化に必要な要素技術
ファイバーレーザーの高出力化に必要な技術を、レーザーの構成要素に分類して検討する。構成要素は以下の3つのカテゴリーに分ける。
- 励起源
- 増幅媒質であるファイバー
- ファイバーからの発振出力
各方式ごとの検討
下の表は、ファイバーレーザー高出力化に必要な要素技術の対象、方式をまとめたものである。各方式の詳細な記述はリンク先のページに記してある。また、ファイバーレーザーの高出力化により発生する問題と対応策はこちらをご覧ください。
| 構成要素 | 高出力化の対象 | 高出力化の手法 | |
|---|---|---|---|
| 方式 | 概要 | ||
| 励起源 | LD素子 | 導波路、 コア径拡大 |
LD素子端面の低輝度化による光損傷閾出力の向上。DCH構造 |
| LDモジュール | バー出力結合 | モジュール内の複数のLD 素子を結合し、単一ファイバー出力を高出力化 | |
| 多重化 | 位相結合 | 波面制御により複数のLD 素子、モジュール出力を単一出力化 | |
| 波長合波 | 波長の異なるモジュールまたは素子を合波し、単一ビーム化 | ||
| 偏波合波 | LD の偏波消光比の高さを利用して、二個のLD出力を合波 | ||
| コンバイナ | 多数の入力ファイバーを単一の大口径ファイバーに結合し、増幅媒質に入射 | ||
| 増幅媒質 | ファイバー構造 | 大口径ファイバ | 光の伝搬面積を拡大し、非線形効果と損傷を抑制し高出力化 |
| ダブルクラッド | 増幅媒質であるコアを囲むクラッドに大出力な励起光を入射し、発振出力を向上 | ||
| フォトニック結晶 | ダブルクラッドの励起光伝搬領域を高NA化し、大励起入力を入射 | ||
| ドーパント | Yb添加 | Nd、Er と比較して、低い量子欠損と発熱。900nm 帯の高い電気/光変換効率LD の利用 | |
| 新材料 | 高調波発生に依らない、可視域の基本波発振などによる高効率、高輝度化 | ||
| 希土類の高分散化 | 濃度消光、フォトダークニング対策による高輝度化 | ||
| 発振出力 | バンドル化 | バンドルファイバ | 多数のファイバー出力を近接させ高出力化。高輝度化には不適 |
| 多重化 | 位相結合 | 複数出力を波面制御し、単一出力として輝度を向上。高安定なレーザーが必要 | |
| 波長合波 | 異なる波長で発振するレーザーの波長差を利用し合波。単一出力として高輝度化可能 | ||
| 端面保護 | エンドキャップ | ファイバー端のMFD を拡大することで、高輝度化により生じる端面破壊を防止 | |
| レーザー保護 | アイソレータ | 高利得なファイバー増幅により増幅された戻り光によるLD や光学系の損傷を防止 | |
参考文献
- 省エネルギー効果が期待されるレーザ加工に関する垂直統合型技術開発テーマ抽出のための調査報告書
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