光アイソレータの性能
インライン型光アイソレータの性能の指標となる順方向挿入損失(Insertion Loss)、逆方向挿入損失(Isolation)、偏光依存性(Polarization Dependent Loss:PDL)、偏波分散(Polarization Mode Dispersion:PMD)、反射減衰量(Return Loss)について解説する。実際に光アイソレータを購入する際にはこれらのパラメータだけでなく、温度に対しての変動や各部品のバラつきについても注意を払い、価格との折り合いをつけるべきである。
順方向挿入損失(Insertion Loss)
要求される値
一般的に要求される値は0.6~1dB。低挿入損失が強く要求される場合では全温度範囲に対しての最悪値規格で0.5dB以下という要求もある。
評価方法
原則は全数の温度試験が必要であるが、価格的な要求から温度特性試験を省略することが多い。それは挿入損失の温度変動が結晶の物理定数で決定されるのではなく、結合光学系の固定部の熱膨張や強度のばらつき等が支配的だからである。
逆方向挿入損失(Isolation)
要求される値
常温のみでのアイソレーション規格はあまり実用上の意味がない。アイソレーションには通常大きな偏光特性があり、最悪値で規定する必要がある。
評価方法
鉄ガーネットの温度特性と波長特性が知られているなら、温度試験を行わずに温度変動分に相当する波長変動を計算し、等価波長で温度試験を代用するということも可能であり、ゆるい規格の場合はよく行われている。
偏光依存性(Polarization Dependent Loss:PDL)
要求される値
通常は0.1~0.2dB程度の値が要求され、全温度範囲で規格内に入ることが要求される。また偏光依存性は累積するため、多段中継を行うシステムでは部品に対する要求が極めて高くなる。
評価方法
測定にはポアンカレ球上の全偏光を掃引できる偏波コントローラが必要になる。偏光依存性に厳しい要求がある場合は常温特性のみの規定では不十分であり、温度試験が必要になる。これは挿入損失の温度変動よりも偏光依存性の温度変動の方が大きいことも多いためである。
偏波分散(Polarization Mode Dispersion:PMD)
要求される値
単位はpsであり、代表的な要求値は0.1ps程度である。通信システムの伝送速度によって要求が変わる(伝送速度の自乗に比例して規格が厳しくなる)。偏光依存性と同じくこの特性も累積するため、多段中継を行うシステムではそれだけ厳しい要求になる。
評価方法
偏波分散は内部の複屈折結晶が主要因であり、あまり温度や波長による変化が大きくないので、常温における一点測定だけで行うことが多い。光アイソレータの偏波分散の具体的な測定方法は、主に干渉法とジョーンズ行列固有値解析法である。
反射減衰量(Return Loss)
要求される値
反射減衰量とは、光アイソレータ自身が生じる反射である。一般的に50dB以下、場合によっては60dBや65dB以上が要求される。
評価方法
光アイソレータ単体の場合には、反射減衰量の温度や波長依存性が大きくないので、常温における一点測定だけで行うことが多い。複合デバイスで内部に狭帯域の光分波膜などがある場合には、複数波長での測定が必要になることもある。



