再生増幅器

1. 増幅器

レーザーエネルギーの増幅方法としては、発振器からのレーザー光を数段の増幅器に入力し出力を得る方法が通常用いられている。

図1(a)に示したようなシングルパス増幅方式は増幅器の段数を増やせば大きなエネルギーを得ることができる。しかし、この方式では、増幅器の段数が多くなることに伴い、増幅器間の寄生発振防止のための光学コンポーネントや長い光路が必要となる。このため増幅器、電源、冷却器などが多数必要となり、システムコストも高くなり、装置も大きくなる。

そこで、増幅器の段数を少なくする方法として同じ増幅器にレーザー光を多数通過させるマルチパス増幅方式(図1(b))や再生増幅方式(図1(c))が考えられる。
Figure1

図1 (a) シングルパス増幅方式, (b) マルチパス増幅方式, (c) 再生増幅方式

2. 再生増幅器

再生増幅方式は、増幅媒質を共振器内に配置し、光スイッチ素子(ポッケルスセル)の印加電圧を時間的に制御することによって、注入レーザーパルスを共振器内に取り込む。その取り込まれたレーザーパルスは共振器内を多数回往復し、増幅器内に蓄積されたエネルギーを十分に抽出した後、再びポッケルスセルにより共振器外に取り出される。そのため高い抽出効率を得ることができ、発振器における良好なピームモードを再生することができる。

このように周波数チャープ光を、広帯域の増幅器によって飽和レベルまで増幅する。チャープパルス増幅法に用いられる増幅器の必要性能として次の3つが挙げられる。

  • チャープパルス光のスペクトル幅より増幅器の利得帯域幅が十分に広く、その中心波長がチャープパルス光の中心波長にほぼ一致した増幅媒質を用いること。
  • 高エネルギー増幅を達成するため、増幅器の飽和フルエンスが高いこと。
  • 増幅中にレーザー光の空間的、時間的パルス歪みを生じさせる非線形光学効果を抑制するため、増幅媒質の非線形屈折率が小さいこと。

このような条件を持った増幅器によって増幅されたチャープパルス光は、負の分散を有する分散媒体(回折格子など)によって全ての周波数成分を同一時に一致させて、フーリエ限界の超短パルス光を得ることができる。

 

3. 再生増幅器の動作原理

次に、再生増幅器の動作原理について考える。次式に示したFrants-Nodvikの式は、増幅媒質を1周回する場合の増幅ビームのフルエンスと入射ビームのフルエンスの関係式として知られている。図2において共振器1周回あたりの透過率Tを考慮すると

F1

である。ここでE1、E0、Esはそれぞれ増幅媒質における増幅ビームのフルエンス、入射ビームのフルエンス、飽和フルエンスである。また、g0は初期小信号利得係数、lは媒質長を示し、exp(g0l)=G0は増幅媒質の初期小信号利得を表す。そして、2周回目における増幅ビームのフルエンスE2は次式になる。

F2

このとき1周回した後の小信号利得係数g1は、1周回の際に利得媒質からエネルギーが抽出されたのでより低くなり(図2)、次式で表される。

F3

このように再生増幅器の増幅特性は基本的に式(0)~(2)を繰り返し適用することによって記述される。
つまり、Esとg0及びTが与えられれば、式(0)~(2)を繰り返し数値計算することにより、n周回目における増幅パルスのフルエンスEnを計算することができる。したがって

F4

F5
よって、n周回目における抽出効率は

F6

 

で表される。

 

再生増幅器計算図

図2 再生増幅器のモデル図

 

4. 製品

再生増幅器

高パルスエネルギー型フェムト秒再生増幅器キット

再生増幅器の立ち上がり時の画像

再生増幅器の立ち上がりの様子

5. 参照文献
・ W. Koechner: Solid-State Laser Engineering, 4th Ed Springer-Verlag, Berlin (1996)